中国語の重要性
Made in Chinaについて、「安物」、「粗悪品」といった、あまりよくないイメージを抱いている日本人は多いと思います。同様に、第二次大戦直後の昭和20年代、Made in Japanは、欧米では「安物」の代名詞であったようです。当時、欧米諸国に比べて日本の人件費は格安であり、多くの繊維製品や玩具などが欧米に向けて輸出されていました。 ほどなくして、日本は、繊維や玩具等の軽い製品だけではなく、ラジオやテレビ等の家電製品も輸出するようになります。それでもやはり、Made in Japanは、「安物」であり、日本は欧米が発明した物を安く作るしか能がない、などと自虐的に考える日本人も多くいたようです。私の子供の頃(昭和50年代)でも、多くの大人達が、「日本は猿まね国家だ」と言っていたのを記憶しています。 やがて日本は、家電製品より重い自動車等の輸送機器も輸出するようになります。オートバイに至っては、一部のマニアックなメーカーを除けば、日本製が世界市場を独占していた時代もありました。日本製品は、安物の粗悪品でしかない、と侮っていた多くの分野の欧米メーカーが日本メーカーに圧倒された時代があったのです。このように、工業化が進むにつれて、主力となる輸出産業が軽工業から重工業にシフトしていくことは、どの国においても自然な流れであると考えられます。 現在、日本で売られている衣類、玩具、その他の日用品の多くは、中国製が大半を占めるようになっています。既に中国製の電化製品も多く輸入されています。多くの人は中国製を粗悪品と決めつけ、日本製に自信を持っています。この自信が過信になり、過信から油断が生まれれば、日本の優位性は危うくなると考えられます。 実際、国際特許の出願件数では、中国は既に日本を追い越しています。もちろん、特許は件数より内容が重要です。中国企業がどのような特許を出願しているのかを十分に精査する必要があります。しかし、中国語で書かれた特許明細書を解読できる日本人がどれほどいるでしょうか?相手国の技術力を正当に評価できない状態で、「技術力では、まだまだ日本が先を走っている」と盲信しているだけでは、いつか落日の日を迎えることなりかねません。そのため、中国語を解読できる技術者の育成が必要だと思われます。