簡体字
中国語の学習を始める準備段階で簡体字に慣れておくと、中国語に対する抵抗感が薄れ、学習効率が高くなります。簡体字という言葉自体に、馴染みがない人もいるかもしれません。漢字という文字は、ご存じの通り、アルファベットなどに比べて画数が多く、書くのが煩わしい文字であります。そこで、中国は、1960年代に漢字をかなり大胆に簡略化しました。この簡略化された文字が簡体字(simplified)です。台湾では、昔のままの文字が使われており、これは繁体字(traditional)と呼ばれています。日本でも漢字改革が行われ、古い字体を旧字体、新しい字体、つまり我々が現在使っている字体を新字体と呼びます。中国と日本が、互いに打ち合わせをすることもなく、それぞれ勝手に漢字改革を行った結果、多くの文字が、互いに推定不能な程にかけ離れてしまいました。そこで、中国語の本格的な学習の前に、簡体字にある程度慣れておくことを推奨します。 実は、簡体字を覚えるだけで、文法を知らなくても、中国語の文献の概要がある程度把握できてしまう場合があります。日本は、漢字と共に多くの漢語を輸入して、現在も使用し続けています。また、明治維新以後、西洋文明を取り入れるために、people=人民、republic=共和国など、日本人が西洋の概念を和製漢語に翻訳し、中国が多くの和製漢語を逆輸入した歴史もあります。したがって、抽象的な語彙の多くが両国間で共通しているため、硬くて小難しい文章の方が、日本人には理解しやすかったりもします。