ズームインとズームアウト
日本では、住所を東京都港区六本木…というように、広い方から次第にズームインしていくように書きます。中国も同様です。英語では、ご存知の通り、ビル名→番地→町名のように、狭い方からズームアウトしていくように書きます。ファミリーネームを先に言うか後に言うか、日付をどう表すかなども東洋と西洋では逆になりますし、東洋はズームイン、西洋はズームアウト、と言えそうです。住所については、例えば、ロックフェラーセンターがどこにあるかを知っていれば、その後は読まなくてもいいわけですから、西洋式の表記の方が合理的です。しかし、港区、東京、日本という順序の説明は、なかなか日本人の腑に落ちません。 文学作品にしても、日本人は、1つの「オチ」に向かって物語が収斂していくようなストーリーを好む気がします。海外の名作と呼ばれる文学も幾つか読み、掴み所がわからずに途中で挫折したことも何度かあります。もしかすると、ズームアウト方式でテーマが発散していく様式に耐えられなかったのかもしれません。 外国の特許明細書を読んでいますと、説明の順序に違和感を感じることがあります。「どうしてこちらを先に説明しないんだろう?」という違和感です。これは、東洋と西洋の文化の違いに原因があるのかもしれません。