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主語があればいいという誤解

  • ito017
  • 2016年5月9日
  • 読了時間: 2分

 「日本語は主語を省略できる」ということは、ご承知の通りです。普段の会話では、一々「私は」「あなたは」などと言い合っているとやかましくて仕方ありません。「明細書で主語を省略すると翻訳者が困る」と明細書の書き手を指導して下さる方もいます。実際には、翻訳者は、形式的に主語がないという理由だけで翻訳に困ることは、まずありません。英語では受動態を使うなど、簡単な工夫で、英語として文を成立させることは、それほど難しいことではありません。  「温度が上昇すると、警告情報を表示画面に表示する。」といった文では、前半の条件節には、「温度が」という主語がありますが、主節には主語がありません。ここで、主語を書きなさい、と言われて、「警告情報を表示画面に表示する。」を「警告情報が表示画面に表示される。」として満足する書き手は意外に多いようです。実際に、このような変換で、主節では、「警告情報」が主語に昇格しているわけですが、情報量は全く変わっておりません。  主語の重要性というのは、実際には「動作主」を明示することの重要性だと思います。警告情報を表示画面に表示させている主体(動作主)は何なのか?これを明示していないために開示不十分で拒絶されるケースもありますので、「主語」を明示するのではなく、「動作主」を明示するという意識で明細書を書くことが推奨されます。

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