aspects of the invention
米国の特許明細書では、aspect of the invention といったフレーズが頻繁に出現します。特に、summaryの部分で使用されることが多いようです。「発明の態様」、「発明の様相」などと訳されることもありますが、私は、特に指定がない場合、「発明の側面」と訳すようにしています。 米国は、発明の単一性(unity of the invention)の要求が厳しいことで知られています。aspectという表現は、この単一性要求に対する事前の釈明として使用されていると考えられます。すなわち、抽象的な単一のideaを(抽象的なideaのまま)様々な角度から眺めた場合、そのideaは、ある方向からは、「処理方法」に見え、他の方向からは「プログラム」に見え、更に他の方向からは「装置」に見える、と主張しているわけです。 一方、embodiment(実施形態)は、抽象的なideaを具現化したものです。抽象的なideaが具体的な「装置」や「方法」のembodimentとして実現されるわけです。したがって、ブロック図やフローチャートに表されているものは、embodimentです。このembodimentの更に詳細な実例をexampleやimplementationと呼ぶこともあるようですが、これらの用語の定義は、実際には境界が曖昧で、書き手によっても解釈が異なるようで、翻訳の際に苦労する表現です。