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小さな大問題(1)

 特許明細書では、「A, B および C」のように、名詞を列挙するフレーズが頻繁に出現します。これを英語に訳す場合、「A, B and C」とするか、「A, B, and C」とするか。つまり、andの前にコンマを打つか打たないか。些細なことのようですが、私はかれこれ20年近く悩んでいます(笑)。  このandの前のコンマは、The Oxford Style Manualが採用しているため、Oxford commaと呼ばれています。わざわざこのような大袈裟な名称が与えられていることは、一般的には使用しない人が多いことの裏返しでもあります。実際、英国では、Oxford commaを使用する人は少なく、米国では、ある程度普及しているようです。  結論から言えば、これは、好みの問題であって、正解はありません。英語の世界では、長年にわたって、採用派と不採用派に分かれて論争が続き、未だに決着が付いていない問題であります。私も、これまで、正解を求めて色々調べてきましたが、この問題はとにかくややこしい。  ですから、私は(ちょっと意地悪なんですが)、ネイティブスピーカーに英語について尋ねる場合、まず、このコンマについて質問するようにしています。この質問に対して、どちらかを正解と断言する人より、ウ~ンと考え込んでしまう人の方が、信頼できそうな気がします。

*本ブログでは「ネイティブスピーカー」という表現を用いています。日本では、英語を母国語とする話者を単に「ネイティブ」と呼ぶことが多いようですが、アメリカ人にとって、nativeは、native American (先住民族)を意味します。誤解を回避するためには、英語を母国語とする話者は、native English speakerなどと言ったほうがよいようです。

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