動詞と名詞の関係
英語では、suggest/suggestion, embody/embodimentなど、語尾を変化させることによって動詞を名詞化させる単語が多くあります。名詞化語尾にはいくつかのパターンがありますが、これといった規則性はなく、単語ごとに覚えるしかなさそうです。
日本語では、動詞の名詞化は以下の2つのルールしかないので英語より論理的かもしれません。
【ルール1】
「漢語+する」の形式の動詞は、「する」を取ることで名詞化される。
「示唆する」は「示唆」、「動作する」は「動作」、といった具合で、これは単純明快です。但し、逆は必ずしも成立しません。すなわち、どんな漢語も「する」をつければ動詞化されるわけではありません。「科学する」、「哲学する」などは、ある程度許容されているようですが、「物理する」、「機械する」などは、市民権を得ていません。
【ルール2】
大和言葉由来の動詞は連用形によって名詞化される。
連用形とは、「~ます。」を付ける場合の活用形です。「釣る」という動詞に「ます」を付けると「釣ります」となる。ここから「ます」を取った「釣り」が連用形であり、これがそのまま名詞形です。ですから、「揺らぐ」は「揺らぎ」、「恐れる」は「恐れ」、「噛みつく」は「噛みつき」となるわけです。
旧仮名遣いにこだわった丸谷才一さんの著書に「扇ぐ(あおぐ)と「扇(おうぎ)」に関する面白い話がありました。「扇ぐ」は、旧仮名遣いでは、「あふぐ」であり、「扇」は、旧仮名遣いでは、「あふぎ」です。旧仮名遣いでは、「あふぐ→あふぎ」という美しい論理関係が成立していますが、現代仮名遣いでは、「あおぐ→おうぎ」のように関係性が見えなくなっているという趣旨です。
普段何気なく使っている日本語も、外国語を分析するように分析してみると、色々新しい発見があります。
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